自由律俳句クラブ 群妙
トップページ
つぶやき
客員・誌友の句
会員・受講生の作品
投句板
ゲストブック
連載漢字のはなし
自由のひろば
小・中学生の句
入会のご案内
リンク
お知らせ
会員・講座生の作品

創刊号
群妙 創刊号

 作品〜群妙創刊号から〜

ひずみばかりの世の中に目をこわばらす
鉢花 分けへだてなく陽をあててやろう
少しモダンな髪型の鏡と話す
墓石も暗い顔する世相の彼岸
まだ自分を捨てきれず ゴミをほかす
伊藤完吾

小石蹴る まだ鴎鳴く古里がある
夕焼け 溶け出した繰り言一日分
この不条理!と玉ねぎ刻む
青空を視て風の行方に触れる
巨木 年輪を誇る
いまきいれ尚夫

過去の錨を上げ前向きの余生
ははの忌につもる話もって夫旅立つ
夫の遺影 笑い顔が救い
凛として輝く寒い月
裸木が空に向かって踊っている
大谷房代

スカートを押さえる手に春を見る
あるじ無くして梅が一輪
あれやこれやとお線香をあげる
悔いながら老いた母を叱る
今さら悔いても もどれない双六
大村九華山

   光と水の連作 ー夜明けから日没へー
一面の葉れんげ 朝露果てもなし
紙片の頂 朝日の透ける蜘蛛の尻から糸
一滴 湖底にひろがる影の同心円
夕風が立ち 川底 影の蛇が這う
閉じた扉の切子 顔に架かる落日の虹
岡田隆

ひとり寝に春の光ゆらぐ
北に向かう水鳥に川面動く
花がまたひとる咲いた 私も生かされて
入道雲湧くごとくに新緑萌え上がる
芽吹かんとする枝の咲き
岡田利雄

プレッシャーに勝てない人生団塊世代
孤食の祖父に「おいしい」と声がけの孫
冬木も骨と筋肉だけで立つ
晩御飯出来る人が作りボランティア三昧
頼みにされる要約筆記が迷走中
門田美和子

つちになるに なんのいさかい
かなしみのほねひっそりはきだす
なんのゆめみる とんぼのめのきらめく
だれもさびしいときめ やすらぐ
生き下手ひらきなおってごくらくとんぼ
窪田耕二

水軍城址へ春の波ひたひた
驟雨が洗った赤いトマト青いトマト
柿が熟れた一草庵の静けさ
みんな疲れて揺れている夜の電車
火を恋う虫の命はかなく
熊野伸二

      花に遊ぶ
蝶々香りを尋ねて そして花
花の知らせです 携帯 笑顔のマーク
己の身も焦がすかブーケンビリア燃ゆ
からたちの思い出トゲ多く若い春
背筋伸ばして水仙春を待っている
桑原一朗

     風のタクト
カウンターがきいた女の独り言
風になって 沈丁花
一つ傘で濡れて恋人でなく他人でもなく
月動かず 水すいすい行ってしまう
齋藤実

咳き込んで火花
陽炎と歩く
水飲む猫の雨音
起こされておぼろ
落ちて空見る椿
佐伯虎杖

爆音のこない日 カボスの白い花粉
船虫ぞろぞろ 俺の目先をよんでいる
花冷えに重ねる 君の筆色
糸トンボ 今夜はどこで寝るつもり
竹とんぼ夕やけ空を押し上げる
重富架光

ふるさとを思うには白すぎる水仙
椎の実を拾い過去を歩いてしまう
ばら色の日もあった 廃品をしばる
勲章はなにもないから花の帽子
ひとひらの風を描きたくて コスモス
重富佐代子

雀こいこい ろっぺい句碑に今年も来ている
みんな ろっぺいさんが大好きで雀も来ている
ろっぺい碑のうしろをドンコ舟が通るので
いつもの垣根に石路の花なら咲いている
はるばる わたしも献酒の柄杓手にする
下川鳴川

スキップしている幼な子の季節
雪のホワイトデイ神さまの物語
梅のかおり うぐいすをつれてきた
今日はお別れの風 花咲く
風花に松葉まっすぐ
杉山和子

裸婦像の瞳に灰色の蝶が放たれる
たどらなければ薄くなる私の輪郭
太陽の足跡がある海の街の画廊
梅の香りを添えた傘をたたむ
下駄の音 夏物語を閉じにくる
高木架京

仏とやらを信じて見たい白椿
越えられぬ山ひとつあり藪椿
月のまどに咳がとまらない
咲きたくて咲きたくてタンポポ
沈黙は奥の手藪椿
高橋正治

蝉が鳴く蝉がなく昌慶苑(チャンギョンウオン)の杜
鈴懸の落葉で作った飛行機よく飛んだ
冬ソナのダイヤモンドダストは故郷(コヒヤン)の思い出
この寒さがなつかしい故郷(コヒヤン)に来ている
昔の風景がある故郷(コヒヤン)に佇つ
高村昌雄

花ミモザ大仰に揺れて無口に
青鷺と見ている夕映え
遠吠え止めばせせらぎの眠り
奔放という寂しさのA面
死神も居る天明の頂に
立花悟

     存在と無
雲と雪との誤植だが雪よりも白い雲
ぼくの好きなもの・こと・ひと知る妻が好き
「存在と無」を枕に昼寝する実存
あれが恋といってよいものかと梅に問う
田中陽

宝剣岳で 友は 千の風になる(部下遭難編)
ひとり雪面に座る 思い出ばかり
頂きにきて、白山に泣く
手をとって 生かされている厳しい父の手(内観編)
コーヒー牛乳がうれしかった父の生きかた
谷垣雅之

霧ふかく紅葉は見えたりかくれたり
ひそやかにひかる碑へ初しぐれ(報恩寺山頭火句碑建立)
月のひかり 凛として ひややかにみる
山頭火よ 黙して語らん父のにごり酒
天守閣 めぐる想いは ホホに春風
種田美奈子

指先 一つの生 美もありそう
闇に沈み 雷(らい)ひとつ
影 完璧に歩(ほ)はば
今という 風が 男の中で蒼かった
己の記憶の中で笑った
近木 圭之介

かじかむ手がかじかむ手をつつむ
つめのさきまで寒うて
さびしうて大根おろす
薪風呂あふれ火と水に合掌
白い息の遍路で南無大師遍照金剛
戸田勝範

朽ちたベンチに陽がすわる 山の駅
うすい唇に軽くふれ春風の吹く口笛
ブラウスの袖ゆるやかにモネの睡蓮
元気です、葉書飛び出す今年の花火
あたたかき陽だまり石も冬にねむる
内藤邦生

いくさ知らぬ宰相の謳う英語まじりの美しき日本
ふわりと生きたい 峰の白雲
合わせる掌の皺深く 原爆忌
春を酔うほどに 深き暗闇
泣きじゃくる児の顔に 夕日燦々
那須正幹

理屈に嘔吐し 寒月は雲に消されている
欺き欺かれ 八十路の月が寒い
野犬まとわりつく 天の孤愁
満天の星は 天上への穴か
草を噛んで きのうをくやんでいる
西村謙

桜の花びらが集団で横断歩道渡って行ったよ
クラクション鳴らされながら夕立が走る
あの空の向こうからオレンジ塗るゴッホ
水たまりの大空渡るあめんぼう
虫食いといえども四つ葉のクローバー
林 木林

春の天井窓からさくら色の風が吹き出す
賞味切れのわたしにも春の口紅を買う
はずまない気持ちを長いブーツに押し込む
バレリーナが描く春の放物線
桜蘭の下で針千本をのむ
平岡久美子

己が影を長く曳いて単色に戻るピエロ
少しだけ砂をこぼして砂との会話
うつむいて父という字が崩れてゆくベンチ
二人称が一人称になる紅い傘
家族がそろうと会話も綿菓子
藤田踏青

山門におわす眼光鋭き阿叫の像(阿弥陀寺)
いつなにがあってもいい自分にしておく
夕陽まみれの勤め人 駅へ駅へと
かきのみたわわにきのかげかきのかげ
やらせ、復党、放言と続き揺らぐ政権
藤原よし久

初孫の笑顔の中に母をみる
山、歩けば汗ふるさとを背負ったまま
汗の中に浮かぶふるさとが人が心のささえ
愛しいふるさとは山と川と海と友
生かされてふるさとはいつの間にか母に似て
松浦正人

椿わたしに伸びている
セピア色の写真の中に母といる
椿をまた見に行こうとメールが届く
雨が走っていく耕した土
ときめきは今にも咲きそうな白椿
水間富美子

酔いどれて 馴染みの店で 朝までうたた寝
ようけ飲んで 血を吐くまで飲んで 悔いる休日
入り川へ 酒吐く夜更けは ちんが群れ来る
きのふもけふも 飲み明かして 家を空ける
酔いつぶれて 片足だけ靴 大の字の上がり口
森川信夫

水ぬるむ水槽の金魚が鬱を吐く
花芽うながすほどの雨音に居る
塩壺の湿りぐあいも梅雨の底
指先の遠い記憶が鶴を折る
山茶花咲いて少年の歩幅で冬がくる
山上和子

         夕光
みどりしたたるなかに坐す
掌に掌あたたかく夕すげのはな
蒼海に月を浮かべてひとり
ひぐらしかぼそくふるさとの家
ゆきつむかすかにかすかな
山口穂銘

泣けよと照らす月見ては泣くまい
触ってみたいほどまっ青な空
遠慮なく咲いている春に嫉妬する
もて余す我身を酒に浸す
あたうことならなぞってみたい君の心
吉次泰男

人を信じたい空へ貼った昼月の切手
寒さ音にして湖心さす舟
枯れ野の嗅覚火にすると春が匂う
枯れ野蹴りゆく風のひづめに萌えよ大地
声たてるほどにもつれ合って蝶の はる
渡野辺朴愁

防府市立図書館 自由律俳句講座 講座生の作品〜群妙創刊号から〜

自分史を書きたい人のいる敬老会
青年が演じて山頭火に酒の味きく
子ねこの手がページをめくって我輩は猫である
元気でね が最後の声で旅立ちのミサ
こんな所に探し物 はがゆい年令
石竹和歌子

母の仕業そのまんま木犀の香りつれてくる
初孫ねとブルドッグが来た
落葉まいおり参道は友禅模様
おとそは卒寿の父から四世代もう春
寒ぼたんそっとよりそうお地蔵様
上田小代子

孫が置いていった遠慮ない疲れ
天気予報たよりに洗い物が定まらない
めだかの赤ちゃん目だけが泳いでいる
今日も暑いねと日傘も重い
雪のあいさつをなって半泣きの桜でいる
内田麻里

春に会いたくてくつひも結ぶ
ひとつずつ教えて七草がゆ
絵手紙のやさしい香りと会話
日向ぼこ背のぬくもり連れて帰る
無人駅出迎えは野良猫と土の匂い
江内キヨ子

水面輝いて鳥 風をきる
処分下手 思い出のろのろついてくる
出会った人が思い出せない 天気の話をする
年重ね前向きに生きる人 私の前がみえてきた
庭掃除 くもの悲鳴は「人間いやだ」
岡本玲子

そろそろ傾いた地球 不安な秋の桜
涙もろくなって真っ赤なもみじ
山の宿 外は心やすめと光るものなく
句は拾うものと先生の声を拾う
爺と孫 歯のない口が笑って同じ春
河村紗智子

山茶花のじゅうたん掃き集めて新年が来る
帰省の切符取れたと再会を待つ
思い出それぞれ巣立ちだだっ広い家
おみくじの小吉が気になる親心
ひっそりと水仙そこだけの春
川本初栄

せめてあと五分を目覚ましが許せない
小さな花の苗と春の夢を待つ
初詣で確か昨年も「今年こそ」
思い通りにならない道しるべを歩く
ストーブ 人の情まで暖めている
熊谷登士子

話がつきない草もゆる
うそだけど耳くすぐられ電話が切れない
晩秋は明日へのときめき夕陽まんまる
季節の香り早朝ウオーキング
ほどいた糸で風に吹かれて春の旅
清水ステ

初かがみ誘われる想いに紅をさす
ふと星のはかない明日をよむ
月ときどき意地悪に雲とあそぶ
自由に使える自分の心に昼下がりぽっかり
雑草に追いかけられ日暮のわだかまり
下瀬美保子

「ただいま」こたえる人なく今日の独りごと
入選の句 遺影の夫はうなずいている
グランドで弾む若い風とすれちがう
SLの思い出までも連れて逝った夫
善いことをした日の風呂の湯かげん
新山綽子

山頭火の小径照らすひかり 文化維新の一里塚
くずれた季節 大寒に咲くサルビアの花
まな板叩く音 嫁ぐ娘と妻の姿重なる
賑やかな写真と母独りの寒い里
山の端が創る一人の座像 私も一人
高木勝二

通り雨 虹を置いてゆく
来年の田植えの話する父の腕の点滴
自己嫌悪の海にりんごを浮かべる
小包に毬栗 ひとつ添えてある
さくらんぼ熟れて 本棚の太宰を開く
田中里美

ON OFFの反応がゆっくり
消された蛍光灯の心のこり
入道雲のせいくらべ 空がせまい
ダイレクトメールも少なくなって 娘宛
資源ゴミ 読まれなかった新聞の立場
田中むつこ

水ひき車 涼しさをはなしている
真っ赤な実あふれて私の息白い
その笑顔お茶うけにして曾孫の写真
くもの巣きらめいて わたしも生きています
思いに更ければ風の音
寺内ヤス子

地上のゴタゴタなんのその地球は回る
アネモネけなげに芽を出した
宇宙までも汚してくれるなと星がつぶやく
ポケットにしまった思い出少し出す
私は私 葱は葱 空が青い
永松志都子

「再発」がかけめぐり何も聞こえない
癌再発 また仲良くしてねとつぶやく
病室からの満月 そっと手を合わす
友人にひとことが長電話
ガンとなかよしといいきかせてもきかせても
中村淑子

かげながくなり 歩巾少しせまくなっている
子達(こら)の声 包んで日暮れる
雨に命もやす花もあり山の寺
大きくのびして 明日もよい日に横になる
古代から夢という花 朝ひらく
中村ユキ子

一輪咲いて発信 生のメッセージ
ちどり足の春定まって影くっきり
ガラス戸の内外ネコの好奇心
学童のむき出しのスネ長いなあ巣立ちの春
幸分けのスダチ消しゴム印で里がえり
濱田知子

幼子は何しても一生懸命 昨日と違う
一輪の福寿草咲いて お正月
さみしい風の一人でいる
忙しく散っては咲き咲いては散る山茶花
葉ボタンも長く伸びて踊りだす
藤井幸江

陽だまりによりそい鯉はだまっている
忘れずに帰って来たつばめ ひとっ飛び
稲穂たれ今日はサンマにする
紅葉(もみじ)化粧で車も秋の顔をしている
師走の自転車に前かがみ
藤田洋子

いま書いたポストの前で読みかえす寒い朝
栞ほのかにアカシアの香
カナの名前がいとおしくなった米寿のこたつ
日本丸だきしめて港胸を張る
青葉のダンス桐一葉
三浦ツヤ

風が風を追う 満々と水を張った田んぼ
さびついた名前で害虫
寒の月 思わず手指セーターの中
紅葉をしたがえて常緑樹の雄姿
枝かげに黄水仙は存在を誇っている
森重満江

瞳を凝らしてゆるぎない私
思うことの反対を生きている
つもる物語をのり越えて母になる
豪雪を溶かすようにショパンを弾く
「母さんのコロッケが食べたい」言う子のいる食卓
渡邉江津子

    佐波川 石物語
語りはじめそうな石の横
傷つかないで丸くなった石などない川風
角のある石もありむつかしい川原
石という名で秘めている
枯葉を休めている石のやさしい流れ
富永鳩山